20080711

DTP

大阪電気通信大学 総合情報学部 デジタルゲーム学科 前期開講科目

編集によるコンテンツバリューの向上と印刷メディア

第12週:07月15日

1)テキスト素材の取り扱い

文章原稿は、テキストデータとして入力しておく。

テキストデータの入力には、テキストエディタといわれる文書入力ソフトウェアを用いる。

ワープロソフトは、文書としての整形機能が充実がしているが、DTPのワークフローにおいて、素材段階のテキストデータが整形されている必要はない。逆に、フォントやそのサイズ、レイアウトなどに指定がされている場合、組版段階で余計な手間が発生する可能性もある。

プレーン(プレイン)テキストと呼ばれる拡張子「.txt」での形式での書類が、後の組版の工程を考えた場合、最も適している。

2)図形素材の取り扱い

図形の要素は、Illustratorなどのドロー系ソフトウェアで処理する。 ソフトウェア上で一から描き起こされる場合と、シンボルマークやロゴタイプといった要素については、既存の印刷物や、手描きの原稿などを下絵として、描き起こす場合の2通りが考えられる。

後者の場合は、スキャナなどの画像入力機器によってイメージを画像データとしてデジタルデータ化し、Photoshopなどの画像処理ソフトウェア上でトレース作業によって、ベクター形式のアウトラインイメージに変換する必要がある。

テキストエディタ

Mac OS(Classic)環境では「SimpleText」、Mac OS X環境では「TextEdit」、Windows環境では「メモ帳」がテキストエディタとしてOSに付属して提供されている。また他にも、シェアウェアの形式で配付されているものや、パッケージで市販されているものなど、多くの種類があり、ちなみに担当講師は、Mac OS環境では「Jedit」、Windows環境では「TeraPad」を使用している。

ANA 西の関・スキャニングイメージ  ANA 西の関・ペンツールによるトレース

ANA国際線でサービスされる日本酒「西の関」のロゴタイプ

左)スキャニングイメージ  右)Photoshopのペンツールによるパスデータとしてのトレース

Photoshop上でトレースしたパスのデータは、[ファイル]→[書きだし]→[Illustratorへのパスの書き出し...]によって、Illustratorのファイルとしてアウトラインイメージに変換することができる。

3)画像素材の取り扱い

写真のポジフィルムやネガフィルムといった透過原稿、印画紙に焼かれたプリントや手描きの原稿などの反射原稿は、スキャナを利用して画像データに変換する。また、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどで撮影されたイメージは、記憶メディア(PCカード、スマートメディア、コンパクトフラッシュなど)の読み取り装置、USBやFireWire(IEEE1394規格)といったポートを通じて、コンピュータに取り込む。

取り込まれた画像データは、Photoshopなどのペイント系ソフトウェアで、印刷物に適した状態に処理する。

■ スキャナ

スキャナは、画像原稿を走査してデジタルデータに変換する装置で、平板なガラスの上に原稿を置くフラットベッド型、高解像度の業務用途機であるドラムスキャナ、透過原稿専用のフィルムスキャナの3種類に大別できる。

■ 画像ファイル形式

商業印刷用のデータとして、画像データを取り扱う場合、画像モードをCMYKに設定し、EPS形式で保存する必要がある。

ANA 西の関・Illustratorデータ

トレース後のロゴデータの利用例

トレースしたロゴのアウトラインデータを、Illustrator上でスクリーン印刷の仕上りイメージとして展開。

別名で保存 

■ EPS形式

EPS(Encapsulated Post Script)は、ラスター形式とベクター形式の両方に対応し、ほぼすべてのペイント系ソフトウェア、ドロー系ソフトウェアでサポートされる、DTPにおける標準画像形式である。

Photoshopでは、以下のEPSの画像ファイル形式で保存することが可能。

1. Photoshop EPS

2. Photoshop DCS

DCS(Desktop Color Separations)は、EPS形式のひとつで、低解像度の画面表示用画像データと高解像度の分版出力用画像データをまとめたもの。

■ EPSオプション

EPS形式で保存する際には、EPSオプションを設定する。

オプション項目の中の[プレビュー]は、他のアプリケーションに配置した際の画面表示画像の状態を指定するものである。

Photoshop DCS 1.0と2.0の違い

Ver.1.0ではアルファチャンネルのないCMYKモード、Ver.2.0ではマルチチャンネルとCMYKの両モードがサポートされ、CMYKモードでは1つのアルファチャンネル、複数のスポットカラーチャンネルを含めることができる。

2.0でサポートされる各種チャンネルは、特色分版を可能にする。

EPSオプション 

1. なし

他のアプリケーションに配置した際に、画像サイズを表す罫線のみが表示され、画像イメージは画面表示されません。

2. TIFF(1bit/pixels)

TIFF形式で色深度1bit(モノクロ2階調)のプレビュー画像が、画面表示で使用されます。

3. TIFF(8bit/pixels)

TIFF形式で色深度8bit(グレースケール256階調もしくはインデックスカラー256色)のプレビュー画像が、画面表示で使用されます。

4. Macintosh(1bit/pixels)

PICT形式で色深度1bit(モノクロ2階調)のプレビュー画像が、画面表示で使用されます。

5. Macintosh(8bit/pixels)

PICT形式で色深度8bit(グレースケール256階調もしくはインデックスカラー256色)のプレビュー画像が、画面表示で使用されます。

6. Macintosh(JPEG)

JPEG形式で色深度24bit(フルカラー)のプレビュー画像が、画面表示で使用されます。

画像ファイルの配置点数が多い場合、コンピュータが画面表示に使用するVRAM(ビデオメモリ)に負荷がかかり、メモリ容量によっては画面スクロールなどにタイムラグが発生しやすくなる。そのような場合は、プレビューなし、もしくは1bit/pixelsを選択する。逆にプレビュー画像の画像イメージを手がかりにレイアウト作業などを進める場合は、JPEGで少しでもデータ本来のイメージに近い状態での設定を利用する。

オプション項目の中の[エンコーディング]は、データの転送形式を設定するもので、画像ファイルの処理速度に影響を与える。設定内容が出力機器と対応していない場合は、エラーを発生させることになってしまうので、出力環境に応じた確認が必要である。

1. EPS形式でエンコーディングをバイナリに設定

ファイルサイズが大きく、出力に時間を要するが、出力機の対応や画質には問題のない設定。

2. EPS形式でエンコーディングをJPEGに設定

ファイルサイズは、エンコーディングをバイナリに設定した場合の1/5〜1/10程度にまで圧縮が可能。出力に要する時間もやや短縮できるが、多くのイメージセッタが対応していない。

3. DCS 1.0形式でエンコーディングをバイナリに設定

低解像度データ1点+高解像度データ4点(CMYK)の計5点のファイルに分けて保存するため、ファイルサイズは大きくなる。出力に要する時間は、1)の設定に比べてやや短縮されるが、旧バージョンで対応していないアプリケーションもある。

1画像を5ファイルで構成するため、ファイル管理が煩雑になりやすいデメリットがある。

4. DCS 2.0形式でエンコーディングをバイナリに設定

ファイルサイズ、出力時間は 2)の設定とほぼ同様で、やはり旧バージョンで対応していないアプリケーションもある。2.0形式では5つのデータを単一ファイルとして保存できるので、ファイル管理は1.0形式に比べてシンプル。

5. DCS 2.0形式でエンコーディングをJPEGに設定

ファイルサイズは、エンコーディングをバイナリに設定した場合の1/5〜1/10程度にまで圧縮が可能。出力時間も非常に高速で、1)の設定の5〜10倍程度のスピーディーに出力される。画質については、JPEGによる圧縮をおこなうため、画像イメージによっては適さない場合もあり、圧縮率の調整が必要となる。3)4)の設定と同様に、旧バージョンで対応していないアプリケーションもある。

■ 画像に関するさまざまな解像度

デジタル化された画像は、ピクセルの整列した色面の集合体である。モザイク状の画面がなめらかなイメージとして認識されるのは、画像の実寸とその画像を構成する1ピクセルの実寸の相対的な関係による。微細なピクセルによって、大きなサイズの画像をつくった場合は、非常に高品質なイメージと感じられるし、逆に大きなピクセルで小さなサイズの画像をつくると、ひとつひとつのピクセルが知覚され、品質が低く感じられる。

解像度は、画像の品質、すなわち画質といえる。解像度が高いと高品質な画像イメージ、低いと品質が落ちる...という具合である。

その解像度を表す単位としては、ppi(pixels/inch)、dpi(dots/inch)やlpi(Lines/inch)といったものがあり、それぞれ、1インチ(約25.4mm)あたりいくつのピクセルまたはドット、線で画像が生成されているかを表す。

DTPにおいて、入力されたカラー画像は、個々のピクセルが、約1670万色中の1色の色彩の情報を持ったピクセルの集合体となっている。それが印刷段階では、CMYKのたった4色の小さなドットに置き換えられて再現される。

その変換のプロセスを追いながら、画像に関わる以下の解像度を理解しておくことが重要である。

1. 入力解像度

スキャナなどを利用して、画像イメージをデジタル化する際の解像度を指し、単位にはppiやdpiを用いる。

入力の際の解像度の設定は、

   出力線数 × 拡大縮小率 × 2

を公式として算出することが一般的。

例)120mm×90mmの元原稿をスキャニングし、レイアウトソフト上では、180mm×135mm(150%)に拡大して使用。出力線数は175lpiに設定する場合...

175lpi×1.5倍×2=525ppi

2. 画像解像度

入力された画像の解像度で、単位にはppiを用いる。

画像解像度は、Photoshopの[イメージメニュー]→[画像解像度]によって再編集が可能。

ピクセル寸法は、幅と高さのそれぞれの方向での実際のピクセル数。

ドキュメント(プリント)サイズは、出力する際の画像の実際のサイズとその時の解像度。

縦横比を固定のチェックボックスを解除すると、それぞれの方向で自由に値を変更することができる。

プレビュー項目の設定の例外

なお、この設定はあくまで、画面表示のプレビュー画像に関するものであり、Post Script対応の出力環境においては、出力結果に影響を与えることはないが、例外として、家庭用のインクジェットプリンタ(非Post Scriptプリンタ)などでの出力の場合は、 出力結果に品質差が生じる。そのため、EPS形式ではなく、Photoshop形式などで保存した画像ファイルを配置した方が高品質に出力できる場合があり、さらにはCMYKモードではなく、RGBモードが適していることがある。

画像解像度 

画像の再サンプルは、拡大縮小した際の画像補完をおこなうかどうかの設定で、チェックボックスを解除すると、プリントサイズを変更してもピクセル寸法のピクセル数は変更されない。それに対して、チェックを設定している場合は、プリントサイズと解像度の設定に応じて、ピクセル寸法も変更される。その際にピクセルの補完がおこなわれるが、その補完方法としては、ニアレストネイバー法、バイキュービック法、バイリニア法の3つがある。

それぞれ一長一短があり、補完を実行する元画像の絵柄によっても適切な選択は変わってくる。

画像の再サンプルは、基本的に元画像に対してピクセルを足したり引いたり...といった操作をおこなうことになるので、基本的には画質の劣化を招くと考えたほうがよい。

3. 出力解像度

出力機器で出力する際の解像度のことで、プリンタ解像度などと呼ばれることもある。単位にはdpiを用いる。

出力機器はカラー、モノクロを問わず、基本的にはドットの大小、粗密によって階調表現をおこなう。

出力解像度は、階調となる1ドット(ハーフトーンスクリーン)をプリンタが印字する際に使用しているヘッドの細かさともいえる。

ニアレストネイバー法

拡大する場合に既存のピクセルを単純に繰り返して複製し、縮小する場合は間引く処理をおこなう。よってジャギーは目立つが元画像の輪郭はそのまま残る。

バイキュービック

Photoshopの初期設定として選択されている標準の補完方法で、最も画質の劣化が少ない方法。しかし処理時間は3種類の補完方式の中で最も必要となる。輪郭のはっきりした画像などの場合、縮小時にジャギーが発生する場合がある。

バイリニア法

バイキュービック法と比べて処理時間は短くて済むが、画質がぼけた印象になってしまう。

3×3ドットによる構成 
8×8ドットによる構成 
10×10ドットによる構成 
16×16ドットによる構成 

ハーフトーンスクリーンの構成イメージ

一般的なレザープリンタの出力解像度は600dpi〜1200dpi程度で、1200dpiのレザープリンタの場合、1インチあたり1200本に相当する印字用のレーザーヘッドがあり、それによって階調の基であるハーフトーンスクリーンの1ドットの大小を構成している。

印画紙やフィルムに出力するイメージセッタでは、1200dpi〜3400dpiといった出力解像度になる。

4. 出力線数

出力線数は、印刷における網点の大きさを表すもので、スクリーン線数ともいわれる。単位はlpiを使用する。

1インチあたり60ドットの細かさで印刷すると60lpi、1インチあたりのドット数が175個であれば175lpiということになる。175lpiの1ドットは60lpiの1ドットの約1/3の大きさになる。

新聞などの印刷には80lpi〜100lpi、一般的なモノクロ印刷で133lpi〜150lpi、プロセスカラー印刷で150lpi〜175lpiといった線数での印刷がおこなわれる。 出力線数は、印刷用紙と印刷用インクに深く関係する。

新聞用紙の紙質などは、紙の表面の平滑度が低く、またインクの吸収性が高く、乾燥が早いといった特性を持っている。こうした用紙に非常に細かい網点で印刷をおこなうと、ドットゲインといわれる現象も加わり、網点のにじみが発生しぼけた画像の再現になってしまう。そのため80lpi〜100lpiという粗い網点によって画像の再現がなされる。逆にアート紙やコート紙などと呼ばれる表面に顔料と接着剤をベースにした塗料をコーティングした用紙は、網点の再現性が高く、ポスターや美術印刷など、画像イメージをより忠実に再現したいケースに用いられ、150lpi〜175lpiといった細かい網点によって印刷するのに適している。

ドットゲイン

ドットゲインのイメージ

左)K50%の網点データ  右)印刷によってドットゲインが発生しデータ以上に太った網点

5. 出力階調数

出力階調数は、出力機器の出力解像度と印刷線数の関係によって決定される網点濃度の段階的な変化で、この階調数が多いほどなめらかな濃度変化の再現が可能になる。 逆に階調数が少ないとトーンジャンプといわれる段階の境目がはっきりと知覚されてしまう。

256階調のトーン
10階調のトーン

出力階調数のイメージ

上)256階調のトーン  下)トーンジャンプが発生している10階調のトーン

出力階調数の算出は、

   (出力解像度 / 出力線数)2乗 + 1 = 出力階調数

となる。

ただし、基本的にデジタルデータとして処理する階調数は、8bitの0〜255までの最大256階調で、それ以上の階調数となる設定をしても、印刷結果には反映されない。

例)出力解像度1200dpi、出力線数175lpiの場合、

(1200dpi / 175lpi)2乗+1=約48階調

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