20080414

ユニバーサルデザイン論

大阪電気通信大学 総合情報学部 デジタルゲーム学科 前期開講科目

すべてのひとに開かれたデザインの思考と実践

第01週:04月17日

1)科目のアウトライン

授業概要の説明

■ 授業目的

ユニバーサルデザインは、ひとのさまざまな差異を考慮した上で、すべてのひとに同じ操作性や機能を提供することを主眼とするものであり、今日のデザイン設計に関わるあらゆる領域において必要とされる要素である。

ユニバーサルデザインの考え方、開発プロセス、設計のための一般的手法について、実際の商品や製品、都市や環境の事例を通して論述し、デザイン設計におけるユニバーサルデザインの視点を養い理解を深めることを目的とする。

■ 授業内容

ユニバーサルデザインの考え方と社会的背景

ユニバーサルデザインのための観察と実験

ユニバーサルデザインの観点

ユーザ分類表

PPP(プロダクト・パフォーマンス・プログラム)評価法

PPP評価法を利用した商品検証

PPP評価法の商品開発への応用

■ 授業方法

各授業テーマに沿った概説講義と、デザインサーベイ(調査活動)をおこなう。

■ 評価基準

出席率60%以上を単位認定の前提とし、受講姿勢(50%)と課題レポート(50%)および期末試験(レポート)により評価する。

■ 教科書・参考書

教科書は特に指定しない。

参考書は授業内で随時紹介する。

■ その他

学生各自所有のノートパソコンを使用し、講義資料(Web)の閲覧、レポート制作をおこなう。

課題制作に必要となる材料などは、その都度連絡し学生各自にて用意する。

演習や課題制作において、積極的かつ能動的な受講と制作への取り組みが望まれる。

開講クラス数:1クラス

開講日時:木曜日・1時限

授業教室:10-201

担当教員:渡部隆志

連絡事項

次週04月24日の授業時に以下のものを持参すること。

・未開栓のペットボトル

・タオル

2)ユニバーサルデザインの考え方と社会的背景

Mac OS Xの[アップルメニュー]→[システム環境設定]→[ユニバーサルアクセス]にある[画面表示・音声・キーボード ・マウス]の各項目は、どういった利用を想定しているのだろうか?

■ ユニバーサルデザインの定義

ユニバーサルデザイン(Universal Design, 以下UDと略す)

多様な能力やニーズを持つすべてのひとに対して、商品、製品、サービス、環境、情報など、モノやコトに込められた機能を、可能なかぎり公平に提供できるようにそのデザインを考慮すること。

1990年にノースカロライナ州立大学のロナルド・メイスによって以下のように提唱された。

"The design of products and environments to be usable by all people, to the greatest extent possible, without the need for adaptation or specialized design"

「特別に改造したり特化された設計の義務を負うことなく、可能な限り広範なすべての人々にとって使いやすい製品や環境のデザイン」

■ UDの7原則 

原則1:Equitable Use(公平な利用)

どのようなグループに属する利用者にとっても有益であり、購入可能であるようデザインする。

1-1)すべての利用者にいつでもどこでも同じように有益であるよう供給する。

1-2)どのような利用者も差別したり侮辱することがない。

1-3)すべての利用者のプライバシー、安心感、安全性を可能な限り同等に確保する。

原則2:Flexibility in Use(利用における柔軟性)

幅広い人たちの好みや能力に有効であるようデザインする。

2-1)使用する方法を選択できるよう多様性をもたせて供給する。

2-2)右利き、左利きでも利用できる。

2-3)利用者が操作したとおり容易に確実な結果が得られる。

原則3:Simple and Intuitive Use(単純で直感的な利用)

理解が容易であり、利用者の経験、知識、言語力、集中の程度などに依存しないようデザインする。

3-1)不必要な複雑さは取り除く。

3-2)利用者の期待や直感に一致させる。

3-3)幅広い読み書きや言葉の能力に対応する。

3-4)情報はその重要性に応じて一貫性を持って整理する。

3-5)連続的な操作に対しては、それが効果的に促されるよう工夫する。

3-6)仕事が終了するまでの間や終了した後など、適時フィードバックがある。

原則4:Perceptible Information(わかりやすい情報)

周囲の状況あるいは利用者の感覚能力に関係なく、利用者に必要な情報が効果的に伝わるようデザインする。

4-1)重要な情報は、絵や言葉、触覚などいろいろな方法を使って充分すぎると思われるくらい提示する。

4-2)不可欠な情報と、それ以外の周辺情報とは十分にコントラストをつける。

4-3)必要な情報はあらゆる感覚形態に応じて可能なかぎりわかりやすくする。

4-4)さまざまな方法を用いて基本要素を区別して伝達する。(手引きや指示が簡単に提供できるようにする)

4-5)感覚に制限がある人々が利用するいろいろな技術や装置は、共用性があるよう供給する。

原則5:Tolerance for Error(間違いに対する寛大さ)

危険な状態や予期あるいは意図しない操作による不都合な結果は、最小限におさえるようデザインする。

5-1)危険や誤操作が最小限となるように要素を配置する。(最も利用される要素を最も使いやすいようにし、危険性がある要素は除去、分離、遮蔽のいずれかを施す)

5-2)危険や間違いを警告する。

5-3)フェイル・セーフ(安全性を確保する方法)を提供する。

5-4)注意の集中が必要な仕事において、意識しないような行動が起こらないように配慮する。

原則6:Low Physical Effort(身体的負担は少なく)

能率的で快適であり、そして疲れないようにデザインする。

6-1)利用者に無理のない姿勢を維持させる。

6-2)操作に要する力は適切にする。

6-3)反復的な操作は最小限にする。

6-4)持続的な身体的努力は最小限にする。

原則7:Size and Space for Approach and Use(接近や利用に際する大きさと広さ)

利用者の体の大きさや、姿勢、移動能力に関わらず、近寄ったり、手が届いたり、手作業したりすることができる適切な大きさと広さを提供する。

7-1)座位、立位など、どのような姿勢の利用者であっても、重要な事柄がはっきり見えるようにする。

7-2)座位、立位など、どのような姿勢の利用者であっても、すべての構成要素に手が届くようにする。

7-3)腕や手の大きさに応じて選択できるよう多様性を確保する。

7-4)支援機器や人的支援が利用できるよう充分な空間を用意する。

■ バリアフリーからUDへ

UDは、バリアフリーと混同されることが珍しくない。

バリアフリーは「高齢者・障害者のさまざまな障壁(バリア)を取り除き、健常者との生活上の差別を無くしていく」という考え方で、例えば、既存の床の段差部分にスロープをつける、といった行為がそれにあたる。

対してUDの基本姿勢は「より多くの人が使いやすい」ということであり、すべての人に使いやすいものであれば、高齢者や障害者にも使いやすいという考え方でデザイン開発に取り組む。この点が、UDとバリアフリーの大きな相違点といえる。

3)授業進行のためのグループ分け

次週以降、継続的に実施するUDのための観察・実験は、グループ単位でおこない記録およびレポート作成をおこなう。そのためのグループ分けをおこなう。

5人1組でグループをつくり、グループの代表者を選出。メンバーリストを作成し、次回授業時に提出すること。

ユニバーサルアクセス

ユニバーサルアクセス

Ronald L Mace

ロナルド・メイス

国内的にも国際的にも認められた設計者・製品設計者・教育者で、彼はこの「ユニバーサルデザイン」を提唱するにあたり、年齢・能力・人生の状態に関わりなくすべての人にとって製品や建築環境すべてが、美しく、できるだけ広い領域で利用しやすいものであるように設計する、という考え方を表明した。

UDの7原則もメイスを中心とするグループによって規定された。

UDの7原則(Version 2.0 原文)

Universal Design Principles

Copyright (C) 1997 NC State University, The Center for Universal Design

UDに関する事例

ツーカーS by KYOCERA

ツーカーS by KYOCERA(ツーカーホン関西)

VTRを利用した番組録画予約は、日付・放送開始と終了の時間・選局・録画モードなど複数の情報を順次適切に入力する必要があった。

Gコードシステムでは、最大8桁の数字を入力すれば予約が完了。

さらにDVD、HDDレコーダーでは、EPG(電子番組表)を見ながらの予約やキーワード登録での録画も可能となっている。

携帯メールの送信後に表示される「送信しました」のメッセージ。このフィードバックを組み込んだインターフェイスの設計により、無用な不安から解放される。

歩道の点字ブロックは、視覚障害者を誘導・案内するため、路面に敷設された福祉機器。進むべき方向を教える「線」で表示された「誘導ブロック」と、曲がり角や横断歩道の手前など注意が必要な所に敷設される「点」で表示された「警告ブロック」の2種類がある。

現在のところ、点字ブロックには規格・寸法・敷設方法に関する全国的な統一基準は存在しない。行政区により定められた「条例」の多くは、「ハートビル法」と関連法規により提示された基準をもとにしている。

公共一般施設内の個室型トイレなどに見られる異常通報ボタン。もし、水洗ボタンと紛らわしい位置に設置されているとしたら…。

非常ベルのボタンには、不注意による接触などでの誤作動を防ぐため、透明アクリルのカバーがかぶせられている。

インデックス担当授業の資料ユニバーサルデザイン論

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