20080720

空間演出デザインII 道具研究・Digital Design

京都造形芸術大学 芸術学部 通信教育部 デザイン科 スクーリング科目

デジタルツールを利用したイメージ表現

01月16日 午後

1)デジタル環境における色彩の基礎知識

資料を参照しながら、デジタル環境において色彩を取り扱う際の基礎知識について概説する。

■ 色彩の特性と効果

特定の色彩が単独で持っている視覚的印象には、以下のようなものがある。

寒色 寒色  … 寒さや冷たさを感じる色彩。

暖色 暖色  … 暖かみや暑さを感じる色彩。

収縮色 収縮色 … 形体を実際よりも小さく感じさせる色彩。

膨張色 膨張色 … 形体を実際よりも大きく感じさせる色彩。

進出色 進出色 … 形体が前に進出する印象のある色彩。

後退色 後退色 … 形体が後ろにさがる印象の色彩。

軽薄色 軽薄色 … 彩度と明度が高く、軽い印象の色彩。

重厚色 重厚色 … 彩度と明度が低く、重い印象の色彩。

また歴史、風土、文化的な背景から、特定の色彩はそれぞれ独自のイメージを有している。一般的なイメージは次のとおり。

白 白 … 潔白、純真、神聖、清楚

黒 黒 … 静寂、厳粛、暗黒、悲哀

灰 灰 … 陰鬱、消極、平凡、中性

赤 赤 … 歓喜、情熱、活気、革命、粗野、幼稚、女性

橙 橙 … 陽気、元気、躍動、積極

黄 黄 … 明快、希望、快活、発展、軽薄、幼稚

緑 緑 … 自然、安心、平和、理想、知性、純情

青 青 … 自然、鎮静、深遠、真実、理性、男性

紫 紫 … 優雅、高貴、不安、神秘

配色における、色彩の三属性(色相・彩度・明度)の作用と印象には、以下のようなものがある。

色相差の等しい配色

色相差の等しい配色 … 一般的に静かで穏やかな印象。

色相差の大きな配色

色相差の大きな配色 … 対立的で派手な印象。調和がとれていないと不快感を感じる場合がある。

色相差の小さい配色

色相差の小さい配色 … 温和でおとなしい印象。

彩度の高い配色

彩度の高い配色 … 派手、刺激的、明るい印象。

>彩度の低い配色

彩度の低い配色 … 地味、渋み、落ち着き、暗い印象。

彩度差の大きな配色

彩度差の大きな配色 … 動的な印象。

彩度差の小さな配色

彩度差の小さな配色 … 静的な印象。

明度差の大きな配色

明度差の大きな配色 … 活動的で明快感が強い印象。強烈な印象を与える配色。

明度差の小さい配色

明度差の小さい配色 … 落ち着いておとなしい印象。明快感が弱く静的な配色。

2)課題[写真から絵画へ]画像によるイメージ表現

デジタルカメラでイメージ採集のための撮影をおこない、Photoshopの持つ色彩のコントロール、フィルタメニューによるピクセル操作といった機能を利用し、撮影した日常の写真イメージを絵画的なイメージへと変換する制作に取り組む。

「あの著名画家が残した未発表の作品」というコンセプトで、視覚的な特徴や印象を的確に捉え、それらを表現に取り込み再生することを通して、Photoshopの機能についての理解を整理し、制作プロセスを論理的に組み立て、実行することを目的としている。

■ 課題制作のステップ

ターゲットイメージの選定

     ↓

デジタルカメラでの撮影

     ↓

Photoshopでの画像加工

■ 絵画のイメージを分析する

写真から絵画へのイメージ変換の観点として、ターゲットとする絵画作品を選定し、その絵画の持つ特徴や印象を分析し、それをモチーフとして画像加工をおこなう。

絵画作品の選定と分析の例として、以下の5作品を例として紹介する。

課題作例1 課題作例2 課題作例3

課題作例

過去の受講生作品

笛吹く少年

Edouard Manet

エドゥアール・マネ「笛吹く少年」(1866年)

近代絵画の起点

古典的描画方法からの脱却

立体感と空間性の意識的な喪失

グランド・ジャット島の日曜日の午後

Georges Seurat

ジョルジュ・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」(1884-86年)

新印象派 印象派+科学

限られた純色だけを用いた点描

光をキャンバスに定着させる

麦畑と糸杉

Vincent van Gogh

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「麦畑と糸杉」(1889年)

後期印象派

躍動感のある力強い筆跡

色彩の対比・補色の効果

夢

Pablo Picasso

パブロ・ピカソ「夢」(1932年)

キュビズム

多様な視点をひとつに融合

形態の大胆なデフォルメ

オンフルールの灯台

Raoul Dufy

ラウル・デュフィ「オンフルールの灯台」(1935年)

フォビズム

輪郭線による形態の描写

色彩のコントラストと調和

絵画作品の選定に際しては、画集や図録、ウェブなどで情報収集する。その際、作品の表面的な部分だけではなく、作家とその時代など制作に関わる背景についても理解を深めることが望ましい。

作家名・作品タイトル・制作年については必ずメモを取り、01月14日のプレゼンテーション時に選定した作品を提示できることが望ましい。

■ 課題制作の参考となるウェブサイト

Mark Harden's Artchive

http://www.artchive.com/

アート at ドリアン 西洋絵画史

hhttp://art.pro.tok2.com/index.html

WEB美術館

http://www1.megaegg.ne.jp/~summy/

■ 日常から絵画的イメージを採集する

デジタルカメラで、画像加工の素材となるイメージ採集のための撮影をおこなう。

撮影時の画像サイズはピクセル寸法で1024px × 768px以上に設定。

撮影したデータはPCに取り込み、サーバ上の各自のディレクトリに保存しておくこと。

□ 撮影機材の貸出

Canon IXY DIGITAL L(カメラ本体) 1台

PC接続用USBケーブル 1本

バッテリー充電器 1個

撮影機材を貸し出すので、責任を持って管理すること。明日回収するため、忘れずに持参すること。

なお、デジタルカメラを持参している場合は、それを使用する。なお、PCへの接続、画像の取り込みが可能であることを確認すること。

□ デジタルカメラの設定

撮影する際の画質の設定は、カメラ背面(ディスプレイ部)にある[FUNC.]ボタンを押し、ディスプレイ左側に表示される設定メニューの中から、十字キーの下ボタンを押して、メニューリスト一番下の[画質]メニューでおこなう。

Canon IXY DIGITAL 背面パネル

カメラ背面(ディスプレイ部)

ディスプレイ下部に表示される画像サイズの中から、[M2]モード(ピクセル寸法1024px × 768px)を選択すること。

□ 撮影方法のポイント

1. カメラアングルを変える

日常の目線の高さのアイレベルではなく、低い位置から見上げるローアングル、高い位置から見下ろすハイアングルなど、視点の変化によって、被写体の中に存在するイメージを再発見することもできる。

2. 撮影画角を変える

撮影する範囲のことを画角というが、被写体を画角に収めるフルショット、被写体の一部分を全面に撮影するクローズアップなど、画面の中にどれだけの情報を収めるのかも、意図的に操作する必要がある。

3. ストロボの設定とブレの効果

ストロボは[自動→赤目防止→切]の設定が切り替えられる機種が多い。ストロボを使用した場合、使用しない場合で撮影されるイメージは大きく代わる。光量が少ないときには、その分露光時間が長くなり、手ぶれのアラートが表示されるが、あえて手ぶれを効果的に利用することも考えられる。

■ 課題要件

制作する画像データは、以下の要件を満たすこと。

  画像モード:RGB

  ピクセル数:1024pixels × 768pixels

  画像解像度:72ppi

  フォーマット:Photoshop

  ファイル名:sd_(学籍番号)_(作品連番).psd

名画を見る眼

高階秀爾 著

岩波書店(1969年)

ISBNコード:4-004-14064-1

定価:735円(税込)

絵画作品に関する造詣を深めるために、読みやすいベストセラーといえる。続編も出版されているので、興味のある方は2冊あわせてどうぞ。

著作権についてのメモ

絵画作品の著作権は、基本的に作者の死後50年が経過すると消滅し、自由な使用が可能になる。ただし、日本は第二次世界大戦において敗戦しているので、戦勝国の作者のものについては、死後75年を経なければならないというペナルティが課せられている。

このページに掲載した絵画作品の画像は、画集や図録からのスキャニングによって転載しているが、画集や図録、またその発行元の出版社に著作権は発生しないため、著作権法に抵触するものではない。

また、作者の著作権が消滅していない作品については、著作権法第35条第1項の教育機関における教育目的での利用を根拠として掲載している。

著作権に関する詳細な情報は、CRIC(著作権情報センター)を参照。

■ Photoshopによる画像加工

資料を参照しながら、Photoshopによる色彩操作やピクセル操作を利用した画像加工について概説する。

Photoshopによる画像加工においては、色調補正やフィルタの効果を理解した上で、その複合的な利用によって、イメージを定着させることが重要である。

漫然と機能の組み合わせを試みるのではなく、意図的に機能を組み合わせることにより、論理的なプロセスを構築することができ、それはイメージの再現性にも通じる。

ヒストリー

ヒストリーパレット

そのためには、作業プロセスを記録する必要がある。Photoshopのヒストリーパレットは、作業プロセスを記録するもので、ここに記録されたデータをメモなどに書き起こしておくことが望ましい。

■ 画像解像度の設定

課題要件に応じたデータとするため、イメージメニュー → 画像解像度... を選択し、画像解像度を確認し、必要に応じて画像のリサイズをおこなう。

画像解像度

Photoshopでの画像解像度の設定(イメージメニュー → 画像解像度...)

ピクセル数 … 幅、高さそれぞれのピクセルの個数の設定をおこなう。それに応じたファイルサイズが表示される。

ドキュメントのサイズ … ピクセル数と解像度によって決まる出力した際の実寸。

解像度 … 1インチあたりのピクセル数(pixel/inch)。この値によって画質が決まる。なお、ポップアップメニューで、1センチあたりのピクセル数(pixel/cm)も選択できる。

画像の再サンプル … 画像のピクセル数を変更しリサイズする際の補完方式が、ポップアップで選択できる。ニアレストネイバー法・バイリニア法・バイキュービック法の3種類があり、バイキュービック法にはさらに、滑らか・シャープの設定がある。

■ 画像データのファイル形式

画像データのファイル形式には、以下のような種類があり、画像データのその後の用途に応じて適切なフォーマットを選択する必要がある。

01. Photoshop

Adobe Photoshopで取り扱うことのできるすべての画像モード、レイヤー、アルファチャンネル、ガイド、グリッドといった独自機能をサポートする。

制作途中および完成した画像データの保存形式として一般的で、いずれのファイル形式に変換する場合も、まずPhotoshop形式で保存し、そのファイルは印刷物の完成まで保管しておくことが望ましい。

02. Photoshop 2.0

Mac OS環境のみに対応し、Ver.2.0と互換性を保つ保存形式です。レイヤー機能はサポートされない。

03. Amiga IFF

IFF(Interchange File Format)は、IBM系コンピュータ用に開発されたペイント系ソフトウェアの多くでサポートされている形式です。レイヤーおよびアルファチャンネル機能はサポートされない。

04. BMP

DOSとWindowsの互換コンピュータ上で使用される標準の画像ファイル形式。オプションでWindows形式、OS/2形式のいずれかと、色深度を指定する。

05. CompuServe GIF

GIF(Graphic Interchange Format)は、モノクロ2階調、グレースケール(256階調)、インデックスカラー(256色)をサポートし、おもにウェブ上の画像表示に用いられている。レイヤーおよびアルファチャンネル機能はサポートされない。

06. Photoshop EPS

EPS(Encapsulated Post Script)は、ラスター形式とベクター形式の両方に対応し、ほぼすべてのペイント系ソフトウェア、ドロー系ソフトウェアでサポートされる、DTPにおける標準画像形式。

EPSオプションで、プレビュー画像(他のアプリケーションに画像を配置した際の画面表示)の色深度などが設定できます。

07. Photoshop DCS 1.0、Photoshop DCS 2.0

DCS(Desktop Color Separations)は、EPS形式のひとつで、低解像度の画面表示用画像データと高解像度の分版出力用画像データをまとめたもの。

Ver.1.0ではアルファチャンネルのないCMYKモード、Ver.2.0ではマルチチャンネルとCMYKの両モードがサポートされ、CMYKモードでは1つのアルファチャンネル、複数のスポットカラーチャンネルを含めることができる。2.0でサポートされる各種チャンネルは、特色分版を可能にする。

08. Filmstrip

Adobe Premiereで作成したRGBアニメーションやムービーでのファイルで使用する。

09. JPEG

JPEG(Joint Photographic Exparts Group)は、グレースケール、RGB、CMYKモードをサポートし、不可逆圧縮といわれる画像のディテールを削除してファイルサイズを圧縮する。おもにウェブ上の画像表示に用いられているファイル形式。ただしCMYKモードは、ウェブブラウザによっては正しく表示されない場合がある。レイヤーおよびアルファチャンネル機能はサポートされない。

10. PCX

PCXは、IBM系コンピュータ上で一般的に使用される画像ファイル形式。レイヤーおよびアルファチャンネル機能はサポートされない。

11. Photoshop PDF

PDF(Portable Document Format)は、配信用電子文書のフォーマットで、Windows、Mac OS、Unix、DOSなどで閲覧可能な汎用性のあるファイルフォーマット。PDFは、ファイル作成時に使用したアプリケーションやプラットフォームに関わりなく、あらゆるソースドキュメントについて元のフォント、レイアウト、カラー、グラフィックスをすべて保持することができる。ただし、閲覧には専用のビューワーであるAdobe Readerが必要になる。

12. PICTファイル、PICTリソース

PICT ファイルは、Mac OS環境で標準的な画像ファイル形式として、多くの描画プログラムで使用されている。

PICTリソースは、Mac OSファイルのリソースフォークに含まれるPICTファイルです。ソフトウェア起動時に表示される画面(スプラッシュスクリーン)やOSに付属するスクラップブックの内容が、PICTリソースにあたります。

13. Pixar

Pixerは、Pixerイメージコンピュータとのファイル交換を目的としている。ワークステーションによる3Dアニメーションなどハイエンドソフトウェア用の設計になっている。

14. PNG

PNG(Portable Network Graphics)はGIFに代わるファイル形式として、ウェブページ用の画像作成に利用されている。PNG-8は色深度8bits、PNG-24は色深度24bitsの画像ファイルとなる。

15. Scitex CT

Scitex CT(Continuous Tone)は、Scitexコンピュータで処理するハイエンド画像向けのファイル形式。

16. Targa

TGA形式ともいわれ、Truevisionビデオボードを使用するシステム用に設計されたファイル形式。MS-DOSのカラーアプリケーションで広くサポートされている。

17. TIFF

TIFF(Targged Image File Format)は、スキャナから読み込んだビットマップイメージの保存のために開発されたファイル形式で、ほぼすべてのペイント系ソフトウェアでサポートされている。

18. 汎用フォーマット

異なるソフトウェアやOS環境で、ファイルの読み込みと書き出しをおこなうためのファイル形式。

ニアレストネイバー法

拡大する場合に既存のピクセルを単純に繰り返して複製し、縮小する場合は間引く処理をおこなう。よってジャギーは目立ちますが元画像の輪郭はそのまま残る。

バイリニア法

バイキュービック法と比べて処理時間は短くて済みますが、画質がぼけた印象になってしまう場合もある。

バイキュービック法

Photoshopの初期設定として選択されている標準の補完方法で、最も画質の劣化が少ない方法。しかし処理時間は3種類の補完方式の中で最も必要となる。輪郭のはっきりした画像などの場合、縮小時にジャギーが発生する場合もある。

インデックス担当授業の資料空間演出デザインII 道具研究・Digital Design

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