20081206
グラフィックデザイン II同志社女子大学 学芸学部 情報メディア学科 後期開講科目 デジタルツールを利用したビジュアルコミュニケーションデザインの可能性 第09週:12月09日
1)編集とは何か編集はドイツ語では「Redaktion」、その語源であるラテン語「redactus」は「整序する」という意味を有し、英語、フランス語の「edit」は出版という語源から転化したものである。ラテン語の「editio」とは「外なる形にして表す」の意であり、「編集する」という内容にあたるラテン語の動詞「edo」には「生(産)む、実現する、演じる」「知らせる、広める、出版する、発行する」「発する、つくりだす」といった意味を見ることができる。これは総じて形の見えないものに「かたち」を与え、「地」の上に「図」を可視化していく営みを指しているといえよう。 一般的に「編集」は出版、映像などの分野で用いられる用語であるが、人間は社会との関わりにおいて、「見て解釈し、それを明らかにする」という、情報の抽出・関係化・解釈といった「編集」をおこなっており、また、政治や学問、商品もすべてが「編集」されていると捉えることができよう。人間とは編集する生きものであるとも考えられる。 1963年に梅棹忠夫(*1)は『情報産業論』を発表し、物質やエネルギーを生産する従来の工業化社会とは異なって、情報産業は「情報」を売って文化的効果を生みだす精神産業であり、工業社会における「商品」の概念や経済理論が通用しない、まったく新しい種類の産業であると規定した。また、産業の発展を、農業、工業、情報産業の三段階に分類し、これを生物学的アナロジーを用いて、内胚葉産業、中胚葉産業、外胚葉産業の時代と呼ぶ。すなわち、農業は消化器官系を充足させることを目的とし、工業は機械によって人間の骨格系、筋肉系を代用することを目的とし、情報産業は脳神経系の充足を目的としている、という対応関係を成立させているのである。さらに、当時はまだ到来していない情報産業時代の価格決定原理を「お布施の論理」と指摘し、商品の記号的価値における内示的意味の存在を示唆している。 『情報産業論』『情報の文明学』を通して梅棹忠夫が強調することは、文明の成立過程や文化の成熟過程が情報の編集によって進んできた、ということであり、巨大化し、多様化する情報社会の展開においては、工業の時代における技術者群に対応するものとして、広義の「編集者群」の存在を指摘し、編集者は情報産業における技師(エンジニア)であると規定している。 「編集」とは、該当する対象の構造を読み解き、それを新たな意匠で再生することを意味する。 「編集」というしくみの特徴は、人々が関心を持つであろう情報のかたまりを、どのように表面から奥に向かって特徴づけていくかというプログラミングであろう。
2)DTPのプロセスとワークフローDTPは、Desk Top Publishingの略で、 原稿の入力やイラストなどの制作、組版、出力までの作業を一般に普及しているコンピュータ環境で処理することができることを指す。編集と出版のプロセスおよびワークフローにおいて、コンピュータによるデジタル環境で情報処理をおこなうことといえる。 従来の印刷物制作方法では、[編集→組版→製版→印刷]のそれぞれの工程で、専門的な知識や能力が必要になっていたが、DTPに特化したアプリケーションソフトウェアを利用することで、それほど専門知識がなくても作業ができるようになった。 DTPは、直訳すると「机上出版」であり、従来の[編集→組版→製版→印刷]という専門分業のプロセスを、コンピュータによって統合しておこなうことをであり、編集者自身が[編集→組版→製版→印刷]をパーソナルにおこなえる状況といえよう。 DTPという言葉は、1986年にPageMakerを発売したAldus(*2)のポール・ブレナード社長が初めて提唱した。ページ記述言語PostScriptの出現によってWYSIWYG(*4)が実現し、また商業印刷に耐える出力品質を得ることができるようになった。出力環境やアプリケーションの点でMacによるDTPが主流であったが、WindowsによるDTPの採用も拡大している。 類似したキーワードとして、DTPr(Desk Top Pre-Press)があるが、これは印刷する前の段階の組版・製版・刷版に関連する工程を、コンピュータ環境でデジタルに処理することで、印刷会社など専門的工程におけるデジタル化をおもに指す。
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編む―intertextuality(未知なる可能性を求めて) 糸を編む、毛を編む、本を編む。編むという行為は、異なるものを一つに縒り合わせることをいう。だから、異なるものの多様性が前提になる。そして、多様性を相互に、内側から関係づけることが肝要になる。異なるテキスチュア、異なる文化、異なる性、異なる世代、異なる感受性、異なる思考…。それらを編むことで、線が面に変わる、立体に変わる。次元が変わってしまうのだ。それらが縒り合わされることによって、それぞれが持っていなかった未知のテキスチュア、未知の感受性、未知の思考、未知のネットワークが生まれる。異質なものが接触し、折り重なることで、関係が変わってしまうのだ。文章(テキスト)、触感(テキスチュア)、テキスタイル(織物)……未知のそれは、いろいろなテキスト、テキスチュア、テキスタイルの縒り合わせのなかから生まれる。異質なものを編んだものは、一個の均質な物質の塊よりもはるかに強い。空白を宿しているから、目のつまったものよりも可塑性があって、軽くて剛い。素ひて便利なことには、緩んでくればいつでも編みなおすこと、編み換えることができる。編みなおすことで、物を変えずに新たな生命を注ぎ込むことができる。編むこと、それは異なるものの交流の原理、インターフェイスの原理であるとともに、リサイクルの原理でもあるのだ。 第9回国際デザインコンペティションテーマより 文◎鷲田清一 わしだ・きよかず 1949− 大阪大学教授。モードと身体についての哲学的批評、ファッション論などまで幅広く現代社会を考察。1989年サントリー学芸賞受賞。著書『モードの迷宮』『最後のモード』など。 *1 梅棹忠夫 うめさお・ただお 1920− 国立民族学博物館顧問。理学博士。京都大学教授を経て、1974年国立民族学博物館初代館長となる。朝日賞、文化勲章など受賞。著書『文明の生態史観』『日本とは何か』など。 *2 Aldus アルダス(アメリカ) DTPという概念を提唱したAldusは、15世紀の出版人アルダス・マニューソロスにちなんでいる。1994年、Adobe Systemsに吸収合併された。 *4 WYSIWYG What You See Is What You Get. ディスプレイ画面で見たものが、そのままプリンタなどで出力できるという意味。 |
3)課題[オリジナルリーフレットのデザイン]モノやコトを広告するための印刷媒体として、フライヤーやリーフレットがある。各自が任意で設定したモノやコトを広告するSPツールとして、リーフレットの企画からデザインまでをおこなう。 ■ 課題要件 判型:A4サイズ(210mm×297mm) 見開きA3サイズ(420mm×297mm)・2つ折り・4ページ カラープリントで出力したカンプを最終形態とする。 ■ 課題制作スケジュール(予定) 12月09日 課題説明・テーマ設定・企画構想 12月16日 サムネールのチエックと素材収集 01月06日 組版作業 01月13日 出力・課題提出 ■ テーマ設定・企画構想に向けて 任意のモノやコトをテーマとしてリーフレットを作成するので、テーマ設定とそれに関わる情報収集をおこなう必要がある。 次回授業時までに以下のポイントについて、情報収集をおこなっておくこと。 1. 対象とするモノやコト 2. 訴求するターゲットユーザ 3. モノやコトの特徴・他の競合との比較 各自のテーマ設定に沿って、コンセプトシートの用紙を利用して、情報収集した内容を分析した上で企画構想とサムネールの作成をおこなう。 企画内容およびサムネールについては、次週授業時に個別チェックを実施するので、それまでに作成を終えておくこと。 |
SPツール SPは、Sales Promotionの略で、販売促進活動のこと。販売促進活動のために供するフライヤー(チラシ)、ポスター、パンフレット、カタログ、POP(point of purchase:店頭広告活動)、什器、パッケージ、ノベルティ、サンプル(試供品)まで、幅広い制作物がその中に含まれる。 カンプ カンプは、comprehensive layoutの略で、制作意図を正確に知らせるため,仕上がりに近く描かれた絵や図のことをいう。 |
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■ 広告表現の企画における視点 広告表現におけるポイントを法則化した「AIDMA(アイドマ)の法則」は、消費者が広告に接してから購買行動に至るまでの、心理的経過を5段階に分けてあらわしている。 Attention:消費者の注意、注目をひくか? Interest:消費者の興味、関心に訴求するか? Desire:消費者の購買欲求を喚起するか? Memory:消費者の記憶にとどまることができるか? Action:消費者の購買行動を促すか? 広告は、「まずターゲットの注意や注目をひきつけ、興味や感心に訴えかけ、欲しいと思わせ、それを忘れないように記憶させて、購買行動に帰結させる」よう、設計および制作することが重要であり、この一連の流れ(法則)は、広告技術の基本として広く認知されている。 AIDMAの法則は、広告制作におけるポイントであると同時に、広告表現の評価の指針としても捉えることができる。広告表現における評価の観点としては、以下に示す「5Iのルール」などもある。 Idea:アイデアに富んでいるか? Immediate impact:直接的インパクトがあるか? Incessant interest:連続的興味をひくか? Information:情報は豊かか? Impulsion:衝撃的か? 『広告コピー概論』より AIDMAの法則を進化させ、特にネットワークを活用した消費者の購買行動をモデル化した「AISCEAS(アイセアス)の法則」なども提唱されている。 Attention:消費者の注意、注目をひくか? Interest:消費者の興味、関心に訴求するか? Search:消費者による検索 Comparison:競合との比較 Examination:消費による検討 Action:消費者の購買行動を促すか? Share:情報の共有 アンヴィコミュニケーションズ・望野和美氏
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AIDMAの法則に関するバリエーション AIDMAの法則に関するバリエーションとしては、AIDMAからM(記憶)を抜いて、購買欲求を行動へと即時的に結びつけるAIDAの法則や、M(記憶)に代えてC(Conviction:確信)を加えたAIDCAの法則、さらには、AIDAのA(行動)を消費者の視点から広告主の視点であるS(Sell:販売)に置き換えたAIDSの法則などがある。
広告コピー概論 植条則夫 著 宣伝会議(1993年) ISBNコード:4-915-37698-2 定価:2,718円(税別) |
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